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ホーム >  本校ブログ >  塾頭コラム#55:“ながら勉強”って、実際どうなの?

塾頭コラム#55:“ながら勉強”って、実際どうなの?


保護者のみなさんから「うちの子、ながら勉強をしているんです」という相談を
数多くいただきます。今回は“ながら勉強”について、少し触れてみたいと思います。

【音楽を聴きながら…はどうなのか?】
グラスゴー・カレドニアン大学で行われた実験の結果、テンポの速い曲ほど頭の働きは鈍り、どのような曲でも学習には悪影響が出る、無音状態がベストという結果が出ています。専門的には「無関連音効果」といい、脳が学習とは関係のない音楽のメロディやリズムのパターン等の情報を同時に処理しようとしてしまうため、作業効率が下がってしまうということです。しかし、子どもたちはこう言います。「音楽を聴いたほうが集中できるんですけど…」と。さて、どういうことでしょう?
実は、好きな曲を聴くと、ドーパミンやアドレナリン等、モチベーションに関わる脳内ホルモンが増加し、ポジティブな気分に変えてくれる効果が期待できるのです。脳の働きが向上したわけではないのに、前向きな感情になったせいで、まるで作業効率まで上がったかのように勘違いしてしまいます。つまり、集中できるのではなくて、集中できると思い込んでいるという、恐ろしい罠なのです。
【音楽以外のながら勉強は…はどうなのか?】
とある精神科医は、「人間の脳はマルチタスクができない」と話しています。ある研究によると、人間の脳は17.5テラバイトの記憶容量があるそうです。「ウィキペディア」の情報総量は約1テラバイトなので、人間の脳はそれの約17倍の情報量を記憶できることになります。人間の脳って、すごいですよね。
一方で、人間の脳が同時に処理できる情報量はものすごく少ないことも分かっていて、例えば3個の情報を同時に処理しようとしただけで、脳の作業領域である「ワーキングメモリ」は満杯になってしまいます。この点は、コンピューターの方が優れているということになります。
例えば、「テレビを見ながら宿題をする」という場合、マルチタスクができない人間の脳は、「テレビを見る」「宿題をする」という行為を同時進行しているわけではなく、これら2つのタスク処理をすさまじいスピードで切り替えているにすぎないといいます。脳の中ではこの「切り替え」を何度も行っているので、脳に猛烈な負担がかかるとともに、脳の処理能力も低下してしまうという状況に…。ある研究では、マルチタスクによってひとつの課題に集中してあたれない場合、その課題を完了するのに時間が50%も余計にかかるという結果も。それだけでなく、間違う確率も最大50%も高くなったといいますから、その悪影響はとても無視できませんよね。つまり、「ながら勉強」は全力で阻止しましょう!ということです。