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塾頭コラム#71:目指すものは、なんだったのか?


とある硬式野球のクラブチームは、全国の甲子園常連校からスカウトが視察に来ることもあるそうで、「将来はプロ野球選手になりたい!」という野球少年たちがその門を叩くそうです。もちろんチーム内の競争も激しく、保護者のバックアップも大いに必要だとのこと。知人との会話の中で、「勉強とは違うフィールドでも、厳しい競争はあるのだな。」と私が身を置く受験業界と照らし合わせるように話を聞いていました。自分自身が経験したことがない世界の話を聞くのは楽しいもので、根掘り葉掘り聞いてしまいました。あくまで1人の知人から聞いた内容ですから、チームや地域が異なれば違う状況があると思いますので、その点はご容赦ください。

スカウトともなれば、中3時の試合でのパフォーマンスがモノをいうのだろう…と勝手な想像をしていましたが、多くは中2までにはリストアップされるそうです(中には中3で頭角を現す…というケースもないわけではないそうですが…)。スカウトの目に留まることを目指す子たちは、それをわかっていますから、妙に力んでしまったり、メンタル面も大きく左右するのだと聞き、これもまた「受験と同じだなぁ」と思ってしまいました。甲子園を目指すとなれば、技術・体力のみならず、精神的にもタフでないといけないのでしょう。知人曰く「スカウトがかかることがほぼ確定した時くらいから、子どもによっての性格の差がはっきり出て、それが面白い。」とのこと。というのも、念願のスカウトが来て、「やった!頑張るぞ!」と意気込む子もいれば、反対に満足してしまって、目に見えてモチベーションが落ちてしまう子もいるそうです。「プロ野球選手になりたい」「甲子園に行きたい」が目標だったはずで、「希望の高校からスカウトがくる」がゴールではなかったはずなのに、こうもクッキリ分かれるのは不思議だと感じてしまうのですが、それが起こるのもまた、子どもであり人間であるが故なのでしょう。これも「受験と同じだなぁ」と思ってしまいました。
高校入試でも、入試が多様化する中で、進学する高校が決まるタイミングは早い子と遅い子で約1ヶ月半もの差があります。昨年の西日本新聞の記事では、「多くの子が早期入試で進学先が決まり、3月の公立一般入試まで臨む子はごく一部」という現状から、「残りの授業は消化試合」というショッキングな見出しが使われました。義務教育のラストスパートが消化試合とは…この世界に身を置く者としては、受け入れられない表現でしたが、しかし、一部でそういう空気感があるのもまた、事実なのでしょう。野球少年たちも受験生も、「目指すものは何だったのか?」を常に意識しなければ、通過点に過ぎないポイントをゴールにしてしまうのです。私たち指導者は、そのことを肝に銘じて、「何のために」「何を目指して」を常々伝えていかなければなりません。