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ホーム >  本校ブログ >  塾頭コラム#76:「やりたいことがない」のはなぜ?

塾頭コラム#76:「やりたいことがない」のはなぜ?


保護者の方からよくいただくお悩みのひとつに、「うちの子、将来やりたいことがないみたいで心配です」という声があります。たしかに「夢は?」「将来やりたいことは?」と尋ねられて、即答できる子は多くはありません。しかし、それは決して“やる気がない”とか“目標意識が低い”ということではないのです。
●「やりたいこと」は知っている世界の中からしか生まれない
人は、知らないものを「やりたい」とは思えません。たとえば、「ハギスを食べてみたい?」と聞かれても、多くの方はピンとこないでしょう。ハギスとは、スコットランドの伝統料理で羊の内臓を煮込んだものだと知って初めて、「挑戦してみたい」か「ちょっと遠慮したい」と判断できるのです。つまり、子どもが「やりたいことがない」と感じるのは、その子の世界がまだ狭いから。知らないだけで、本当は心を動かす出会いや体験が、この先たくさん待っているのです。
●世界を広げるための「勉強」
ここでいう勉強とは、机の上だけの学びではありません。「本を読むことで、物語の世界や他者の考えに触れる」「実際に体験することで、心や身体が刺激を受ける」「人と会い、会話することで、価値観や生き方を知る」…これらはすべて、子どもの「世界を広げる勉強」です。心理学でも「人は選択肢が増えるほど、自分に合うものを見つけやすい」と言われています。つまり、今はまだ“材料”が足りないだけ。世界を広げることが、将来の「やりたい」に直結するのです。
●保護者にできるサポート
では、ご家庭でできることは何でしょうか。
・本や映画を一緒に楽しむ : ジャンルを広げるだけでも刺激になります
・日常に小さな体験を増やす : 地域のイベントや新しい習い事など
・「なぜ?」を一緒に考える : 子どもの疑問を掘り下げ、世界観を広げる会話を
大切なのは、子どもに「やりたいことを言わせよう」とすることではなく、環境や体験の幅を広げてあげることです。

◎最後に
「やりたいことがない」というのは、マイナスではありません。むしろ、これからの可能性が無限に広がっている証拠です。ご家庭でも、ぜひ「世界を広げるきっかけづくり」を意識してみてください。きっとその中から、子どもたちは自分なりの「やりたい!」を見つけていきます。