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塾頭コラム#91:「褒める」と「認める」はどう違う?


生徒「テストで90点とったよ!」 保護者「すごいね!よく頑張ったね!」
こんな親子の会話、きっと多くのご家庭で交わされていることでしょう。子どもが頑張ったとき、成果を出したとき、褒めてあげたいと思うのは自然なことです。私たち教師も、生徒の頑張りを褒めることは日常的にあります。
ところで、みなさんは「褒める」と「認める」の違いを考えたことがありますか?似ているようで、実は少し違います。例えば、テストで90点をとった子に「すごいね!」「頭がいいね!」と声をかける。これは、よい結果や能力を評価する「褒める」という関わり方です。一方、「前回は70点だったのに、20点も上がったね!」「苦手だった計算問題が全部できるようになったね!」と声をかける。こちらは、子どもの努力や変化を具体的に受け止める「認める」という関わり方です。そして、近年では、この「認める」という関わり方の重要性がクローズアップされるようになっています。もちろん、褒めることが悪いわけではありません。褒められれば嬉しいですし、それが次の頑張りにつながることもあります。ただ、ここで少し考えてみてほしいのです。
もし、テストの点数が下がったら?  頑張ったのに、結果が出なかったら?
そのとき、私たちは子どもに何を伝えられるでしょうか。「すごいね!」と褒められる結果が出なかったとしても、子どもの努力や成長まで消えてしまうわけではありません。
例えば、前回80点だった子が、今回は75点だったとします。点数だけを見れば下がっています。しかし、答案をよく見ると、前回は手もつけられなかった応用問題に挑戦できているかもしれません。苦手だった単元の正答率が上がっているかもしれません。
「今回は難しい問題にも挑戦できたね」  「前は苦手だったところが、できるようになっているね」
こうした声かけは、点数だけでは見えない成長を子ども自身に気づかせてくれます。心理学の研究でも、子どもの能力を漠然と褒めるより、努力や取り組み方など、本人が工夫・改善できる部分に目を向けたフィードバックが、挑戦への姿勢を支える場合があることが示されています。ただし、「努力したね」と言えば何でもよいわけではありません。大切なのは、実際にどんな工夫をしたのか、何ができるようになったのかを具体的に伝えることです。
では、ご家庭ではどうすればよいのでしょうか。例えば、宿題を終わらせた子に「えらいね!」と伝えるのもよいでしょう。そこに「今日は言われる前に始められたね」と付け加えてみる。苦手な問題を解けた子には「すごい!」だけでなく、「前は途中で諦めていたのに、今日は最後まで考えたね」と伝えてみる。ほんの少し言葉を変えるだけで、子どもに届くメッセージは変わります。「よい結果を出したから褒めてもらえた」だけではなく、「自分の頑張りや成長を、ちゃんと見てもらえている」という実感につながるのです。
そして、もう一つ大切なことがあります。それは、子どもがうまくいかなかったときこそ、「認める」という関わり方が力を発揮するということです。努力しても結果が出ないことはあります。失敗することもあります。そんなとき、「もっと頑張りなさい」と言う前に、まずは、そこまでの努力や工夫を見つめてみる。そのうえで、次はどうすればよいかを一緒に考える。認めることは、何でも肯定することではありません。できていることは認め、改善すべきことは改善する。その両方があってこそ、子どもの成長につながります。
私たち九大進学ゼミも、テストの点数や順位だけでなく、一人ひとりの小さな変化を大切にしています。昨日までできなかった問題ができた。自分から質問できた。苦手なことにも挑戦した。そんな成長を見逃さず、具体的な言葉で伝えていきたいと思います。「褒める」ことも大切。
でも、それ以上に大切にしたいのは、「ちゃんと見ているよ」というメッセージです。ご家庭と九大進学ゼミで、子どもたちの小さな成長を一緒に見つけ、認めていきましょう。